タイのDoi tung(ドイトゥン)と呼ばれる地域のコーヒー豆がある。
たまたま縁の木で勧められて飲んでみたところ、ナッツのような濃い甘みと香味にハマり、1週間やそこらで100gを飲み干してしまった。

ちなみに、Doi Chaang(ドイチャン)農園というところもあるらしく、最初カタカナ名で混同してしまった。ドイトゥンとは別らしい。

基準にしている馬町に比べると苦味はかなり弱く、パンチより風味で勝負するタイプの豆かなと思う。

少し調べたところ、もともとタイのこの地域は少数民族がアヘンの栽培で生計を立てていたとのこと。

シーナカリン王太后という当時の国母に当たる人が、コーヒー、マガダミアナッツ、紙漉きの工場などを建て、アヘンは一層されたそうな。
それら産業の中でもあまり安定した生産ができなかったコーヒーについて、川島 良彰さんという日本人が生産指導に入って品質を向上させた。


ボリビアのベジャビスタ農園はコカの葉だったけれど、コーヒーというのは貧しい地域の産業として花開くことが多いのだろうか。

ワインも、過酷な寒い年に糖度の強いぶどうができるというけれど、赤道付近の暑い土地で採れるものが世界中で飲まれていると感じる。

大地を絞った果汁がぶどうやコーヒー豆に結実する。
そこの人たちの汗と涙の結晶を頂いていると思うと、豆の一粒も無駄にするのがもったいない気はしてくるが、悲しいかな、一人で飲みきれるコーヒーはせいぜい多くて一日3,4杯。

大地の滋味を味わい尽くすのはなかなか遠そうだ。

さて、写真は滋味もクソもないような駅構内の汚れとサビにまみれたパイプ。
こういうもののおかげで我々は快適な生活を営んでいるのだなぁ。
と、おもむろに手を合わせる。